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「アラムクルクル」ホテルのヴィラに宿泊すると、明け方、鳥の声があまりにうるさくて目覚めた。
(もう!うるさいなあ)
豊かな自然も結構だが、鳥の声がすごい。母を見るとグーグー寝ている。朝八時。母を起こして朝食に行く。窮屈なのは嫌だからノーブラでサンドレスを着る。のびやかな気分!
朝
食のバイキングは日本語メニューもあって嬉しい。ローストチキンやトマトソースのパスタ、焼きそば、ナシゴレン、鶏肉入りお粥・・・・・・と、夕食のよう
な豪華メニューが並び、パンやサラダ、パイナップルやメロン、南国のフルーツがドッサリ。テラス席に座るとカーッと熱い太陽を感じ、椰子の木と海が見え
て、ゴキゲン!目の前の海ではガルーダ・インドネシア航空主催の「アロハ・ガルーダカップ」というサーフィンの大会をやっていて、テレビ朝日が取材にきていた。
朝
食後、ホテルにあるスパを体験する。木造建築に入ると、部屋にはベッドが二台あり、カップルルーム。母と一緒にマッサージを受けられるようになっていた。
バスルームでガウンに着替えて、まずフットバス。その後、アロマオイルの中から好きな香りを選び、アロマ・マッサージを受ける。バリ・ミュージックを聞き
ながらのマッサージはリラックスできて、疲れも吹っ飛ぶ至福の時間!
マッサージの後はスパイススパだ。湯船にキマという大きな葉っぱやジンジャー(生姜)が浮いていて、香り豊か。優雅にお風呂に入っていると、バリ紅茶とクッキーがサービスされる。
「お姫様気分だね!」
「ママ、こんなにすてきなスパ、初めてよ!」
日頃、忙しそうな母が楽しそうにしてくれて嬉しい。母と一緒の旅行というのも、たまにはいいもんだなあ。
お風呂の後、サンドレスに着替えて部屋を出ると、ジャムジュースがサーブされた。タ─メリックとタマリンドの果実、ライム、パームシュガーで作られている。血液循環をよくする働きがあるそうで、黄色のジュースは甘かった。
スパの後はシェフ主催の「クッキングスクール」に参加して鶏肉サラダを作る。
午
後二時。二泊目に宿泊する「マタハリ・ビーチ・リゾート」から迎えのドライバーがくる。ホテルまで、三時間半もかかるという。今回、二泊目、三泊目のホテ
ルはヌサドゥアにあるリッツカールトンにしようかとか、いろいろと迷った。バリにはたくさんのホテルがある。テレビ局のプロドュ─サーとつきあっている友人は人気のアマンキラ、アマンダリ、アマヌサに宿泊したと豪語しているし、他の友人達も「フォーシーズンズが良かったよ」と勧めるが、私にとってはどれも高すぎる。結局、「日本人にあまり知られていない」というキーワードで探した。
昨年「週間ポスト」(七月九日号)の
「蘇我ひとみさん一家再会」の記事に、「北朝鮮から正式な回答がないうちから、外務省ではバリ島の中でも特に風光明媚で知られる北西部の高級リゾート、
『マタハリ・ビーチ・リゾート』を再会場所と決めて、ひそかに準備を進めていた。同リゾートは日本人観光客が多い南東部とは反対にあり、空港から車で丸一
日はかかる。ジャワ海を望み、美しい山並みが連なる、いわば外界から隔絶した楽園」と書かれてあったので、どんなに素敵なホテルなのかと予約したのだっ
た。
ところが、レギャンの繁華街を通りぬけた頃から、不安な気持になってきた。青々とした美しい水田の風景は乾燥した荒地になり、山を越え、三時間経っても、ホテルに着く気配はない。
ふと、母を見ると疲れ果てて寝ている。年老いた母に長距離の移動をさせ、申し訳ない気持ちでいっぱい。
(何故、こんな遠いホテルにしてしまったのだろう。『地上の楽園』と言われるヌサドゥアのホテルにすればよかった。失敗したかも・・・・・・)
しかも、青空だったのが真っ暗闇になり、スコールが降ってきた。フロントガラスにバシャバシャ。後悔の念にかられる。(続く)
(週間新潮7月28日号)
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