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猛
暑が続き、夏本番前なのにヘトヘト。毎日、大した仕事もしておらず、ウーロン茶を飲んで、お煎餅をボリボリ食べてメールを見るだけの毎日。それでも満員電
車に揺られ、会社には行かなきゃならないから疲れる。サラリーマンは大変だ。帰宅して朝日新聞の夕刊を見ると、JTBやHISの「夏休み旅行」の広告が
いっぱい!あ!南の島でのんびりしたいなあ・・・。
突
如として海外に行きたくなる。私はバリが大好き。十二年前両親と一緒にバリに行ったことがある。サヌールの「バリ・ハイアット」に泊まり、その後、海辺に
あるヌサドゥアの「シェラトン」に宿泊した。豊かな自然と古い歴史と独特の文化を持つバリ島。クタの「ポピーズ」というレストランも美味しかったし、すっ
かり魅了させて、翌年、5月の連休には再び両親と一緒にバリのウブドを訪れ、「チャンプアン」に宿泊した。金銀赤など艶やかな衣装を身にまとって踊る舞踏
を見たり、ライステラス(棚田)を見学しに行った。
(目を閉じるとガムランの音色が聞こえてくるなあ)
急遽、三泊四日でバリに行くことにする。せっかくなので、日頃、父と「トホホな老後生活」を送っている母を誘うことにした・・・
(遊びとなると、私には素早い行動力があるのだ)
ヤ
マモト君(取締役)も、京大卒の農学博士で宮元武蔵の末裔であるS部長も、I課長(京大法学部卒)もみんな忙しそう。研究者達は天然生理活性物質の探索や
健康素材の効能メカニズムの解明、品質会議、動物試験・ヒト試験、安全性試験、研究論文、学会発表とスケジュールがギッシリ。
しかしっ!
私には何の予定も会議もないから、いつでも旅行に行けるのだ、ラッキー!!
こ
うゆう時、「窓際ってもしや、最高にいいポジションなのでは?」と思う。重責もなく、部下を評価したり、指導するストレスもなく、一年に一回の人事異動
と、その後の落ち込みさえガマンすれば会社でブラブラ遊んでいるだけでお給料が貰えて楽チン。窓際って天国だなあと思う。
そ
んなわけで水曜日に成田空港に向かう。以前は二回ともガルーダ・インドネシア航空だった。JALの直行便が就航してからは、「いつかはJALでバリに行き
たい」と思っていたので今回はJAL。念願が叶って嬉しい。ところが昨今のJALは注目の的。滑走路に語進入しないかとか、配膳用カートや機内食トレーを
ちゃんとしまってから着陸するかとか、飛行機のタイヤが外れないかとか、ちょっとドキドキ。
と
ころが何のトラブルもなかった。エコノミー席だったにもかかわらず、ビーフシチューは絶品だったし、JALオリジナルドリンク「スカイタイムゆず」は美味
しいし、機内誌「スカイワード」は面白いし、快適な空の旅を満喫し、デンパサール空港に着陸した。さすがJAL。パチパチ!
空
港を出ると、宿泊する「アラムクルクル」ホテルの人が迎えにきてくれた。ユウコさんという若い日本人女性で三月に早稲田大学を卒業したばかり。百貨店に就
職が決まっていたが、テレビの懸賞でバリ旅行が当たってしまい、お姉さんと訪れたところ、すっかり魅了されて、バリで働くことにしたのだという。
「父がすごく心配して、まだ怒っているんです・・・・・・」
とけなげに語る。空港から十五分でホテルに着くとプチホテルのよう。JTBやHISのツアーでも使われているホテルだという。ブーゲンビレアが咲く庭を歩き、ヴィラに案内される。
「わあーすてき!」
ベッドには白い蚊帳が吊るされ、バスルームのバスには、「フラワーバス」といって湯船に赤や黄色やオレンジの色鮮やかな花びらを浮かべて魚の絵柄が描かれてあり、ムードいっぱい。母と泊まるのにロマンチックなのもトホホだが・・・・・。
実は母と二人きりの旅行は初めて。母はたまにブチきれるからケンカにならないか、内心ハラハラ。ドキドキの旅が始まった。(続く)
(週間新潮2005年7月21日号)
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